2025年：世界初、押出チューブの水平リサイクル実証実験成功報告　化粧品・日用品容器のプラスチック廃材の水平リサイクル実現へ前進

大和製罐株式会社（本社：東京都千代田区丸の内、代表取締役社長：山口裕久）は、株式会社digglue（代表取締役 CEO：原 英之）と共同で、化粧品用押出チューブの水平リサイクルに向けた実証実験を2023年6月から2024年5月の期間実施しました。ヴェオリア・ジャパングループの協力を得て行われたこの実験は、食品用途を除いた商用押出チューブにおいて世界初となる成果を収め、2025年4月SVPジャパンの調査でもその事実が確認されています。

持続可能な循環型社会の実現に向けて

近年、循環型社会へのニーズの高まりを受け、化粧品や日用品に使用されるプラスチック製押出チューブの製造過程や充填時に発生する廃プラスチック、使用済みチューブの再資源化が喫緊の課題となっています。 CO2等の温室効果ガス（GHG）排出量や製品の環境配慮に関する情報開示も、ステークホルダーの理解を得る上で不可欠です。

大和製罐とdigglueは、これらの課題解決を目指し、実証実験（PHASE1）を実施しました。この実験では、押出チューブの製造工程で排出された廃プラスチックを粉砕・再生ペレット化し、再生プラスチック材配合の押出チューブの試作、品質評価、効果試算を行いました。

実証実験の結果：高い成形性と品質、CO2排出量削減効果を確認

実証実験の結果、再生プラスチック材配合の押出チューブは、容器製造に必要な成形性を損なわず、化粧品・日用品容器として求められる品質基準を満たしていることが確認されました。さらに、押出チューブの製造工程で排出された廃プラスチックを再利用することで、大和製罐のCO2排出量を従来の製造工程比で約33％削減できることが、効果試算によって明らかになりました。（※当社の製造工程、購入材料の製造工程、それに伴う輸送、廃棄、リサイクル処理までをシステム境界として試算）

今後の展望：工場内廃材からの水平リサイクル実現へ

今回の実証実験の成功を踏まえ、大和製罐は工場内の廃プラスチック材を活用した押出チューブの水平リサイクルの実現（製品化）を推進していきます。 さらに、長期的な目標として、内容物の充填工場で発生するロス品や、消費者使用済みの容器についても、再生プラスチック材の原料としての水平リサイクルを検討しています（PHASE2）。

digglue社の循環型デジタルプラットフォーム「MateRe」の活用

本取り組みでは、digglue社が提供する循環型デジタルプラットフォーム「MateRe（マテリ）」を活用し、温室効果ガス（GHG）排出量やトレーサビリティデータの可視化を行い、ステークホルダーへの情報提供を強化します。「MateRe」は、資源循環に必要な情報をデジタルで可視化・分析できるSaaSであり、サーキュラーエコノミーコンサルティングと組み合わせることで、廃棄物の資源循環を促進します。

循環経済パートナーシップ（J4CE）への参画

大和製罐とdigglueの取り組みは、「循環経済パートナーシップ（J4CE）」にも事例として掲載されています。J4CEは、循環経済への理解促進と取り組み強化を目的に、環境省、経済産業省、経団連が2021年に設立した官民連携の取り組みです。

大和製罐株式会社について

大和製罐株式会社は、食品・飲料向け金属容器、化粧品・日用品向けチューブやポンプなどのプラスチック容器を提供する総合容器メーカーです。顧客への飲料開発支援、容器・デザイン提供、委託充填先や設備紹介など、容器に関わる幅広いサービスを提供しています。

まとめ

大和製罐とdigglueによる世界初の押出チューブ水平リサイクル実証実験は、成功裏に終了し、再生プラスチックの活用によるCO2排出量削減効果を実証しました。 この成果は、化粧品・日用品業界における持続可能な資源循環モデル構築に大きく貢献すると期待されます。 今後は、工場内廃材だけでなく、充填工場のロス品や消費者使用済み容器への水平リサイクル拡大を目指し、循環型社会の実現に向けた取り組みを継続していきます。